- 大島丸
【大島丸代船建造 プロジェクト】第29回
機関室の現状と係留運転
なんだか今日の船内は温かくないですか?
音もしていないかな。
あ、発電機が回っていました。それで温かく感じたわけですね。
エンジンルームは先行して工事を進めてきたからね。
発電機原動機と発電機のテストは問題なく終了しているよ。
次はいよいよそのエネルギーを使って推進電動機を回すテストが始まる。
え!もう走りだすんですか?
さすがにそこまではやらない。
岸壁に係留したまま推進電動機を運転するんだ。
これを係留運転と呼んでいる。
よかった。まだ乗船する心構えができていませんでした。
それでも12月末には第一回目の試運転に出るからね。
それまでに船内機器が不具合なく作動することを確認しておかなければならない。

機関室中段左舷船首側から船尾側を見る/エンジンルーム中央部

機関室中段左舷中央部から右舷下側を見る/エンジンルーム後部

推進電動機試験の様子

減速機保護装置試験の様子
岸壁に付けたまま、プロペラを回したりしますか?
そうだよ。
そんなことしたら、係船索を引きちぎって船が走りだしませんか?
ハハハ(笑)、その心配はないよ。
この船にはどんなプロペラを使っていたかな?
CPP可変ピッチプロペラです。
そのとおり。
主機から伸びるプロペラ軸が回転していても、プロペラの翼角を0度にすれば前後進はしないだろう。
そうか、それなら安全に検査を行えますね。
FPP固定ピッチプロペラの大型船ではプロペラを回して走りだそうとする船体を、タグボートを使って真後ろに引っ張ったりすることもあるけどね。
動いていない機械を、「動いています」というダミー信号を送って確認作業を行う場合もある。
チェック項目は一つの機械につき数十か所あるから、船全体では凄い数になるよね。
なんだか気の遠くなる作業ですね。
これを一つひとつ確実にやっていくことで、安全な船が完成する。
丁寧な確認作業、私も見習わなくちゃ。
そうだね、船乗りに求められる几帳面さに通じるからね。
後期中間試験も、最後までぬかりなく確認すること。
はい、がんばります。