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【大島丸代船建造 プロジェクト】第18回

【大島丸代船建造 プロジェクト】紹介

通称:MNP(MOTUNUI PROJECT)
(モツヌイ:大島に関連のあるハワイの言葉で、大きな島という意味)

感染症対策としても有効なチラーシステムによる換気

いつになったらコロナウイルスは落ち着くのでしょうか?
昨日も一日で20万人の感染者が発生したと、伝えられていました。

まだまだ、収束する様子が見えないね。

一昨年、横浜港に入港した大型客船船内で、多くの人が感染したニュースはショックでした。

あのニュースはセンセーショナルだった。
一般の人たちは、船は危ないと思い込んだからね。
国内にウイルスを持ち込まないよう、乗船者を船内に留めおく方針は間違っていなかっただろう。
実現はしなかったけれども、大島丸にも客船船内に入る医療スタッフの宿泊施設として運用できないかとの問い合わせがあったんだ。

でも、今ではそれが間違った認識だったと殆どの人が知っています。
あの頃は、今以上に未知の病だったですからね。

そうだね。代船計画がその頃立ち上がったので、コロナ対策をどうするか、かなり悩んだ。
とにかくしっかり船内の空気を換気ができるシステムを採用したかったんだ。
今回は、その換気方法について説明しよう。

はい、よろしくお願いします。

前回のエアコン編で説明したとおり、代船ではチラーシステムのAHU(エアハンドリングユニット)を使って、新鮮な外気を冷やしたり、温めたりして船内に送り込むから、常に新しい空気が入って出ていく。

家庭用のエアコンや前回習ったマルチエアコンでは換気はできないので、換気と冷暖房が一緒に行えるなんてすごいですよね。

一般的な船では、空気が船内に送り込まれ、通路等を通った後に、トイレ等の水回り区画からファンで強制的に排気されている。

それでは空気が混ざってしまいますね。
船内で空気が循環しているというのは、このことですね。

代船では、各部屋に吸気される風量と同じ量を排気できる機械を個別に設けて、他の部屋の空気と混ざることなく、部屋毎で吸排気が完結する方法を取っている。

それだと、ウイルスが浮遊していたとしても広がりにくいということですね。

代船の換気システム

そういうことだ。
特に多くの人が集まる学生ホールは、中にいる人の数によって換気回数を自動的に調整できるようになっている。

それって、どういう仕組みになっているのですか?

人間が出したCO2量をセンサーでモニタリングして、CO2濃度が高くなると、自動的に排気ファンが駆動して強制的に換気を行うようになっている。

CO2濃度が高くなると眠くなってしまうけど、代船では中にいる人数に合わせて新しい空気が入ってくるので眠くなりにくいということですね。

そうとも言えるね。
基本的に船内で罹患者が発生した場合は、速やかに陸上の病院に送り出すことになっているけど、隔離しておく間の病室には特別な措置をとっている。病室と隣接する多機能トイレの換気システムは他と分離されていることに加えて、排気ファンには特殊フィルターを付けることにより、ウイルスが外に漏れ出さないようにしている。

学生ホールの換気システム

それだと、船内でも安心できます。

病室の換気システム

前回の話とあわせて、チラーシステムについて理解できたかな。

はい、大まかなところはわかりました。
でも、卒業後乗船する船では、どんな冷暖房システムが採用されているか不安です。

そもそも商船に乗船している乗組員数は少ないし、個室管理されているから、それほど心配はない。それに残念なことだが、船内でのコミュニケーションの場は、昔に比べてかなり減っているからね。
それよりも大切なことは、一人一人が手洗いとうがいを徹底して、船内にウイルスを持ち込まないよう心掛けておくことだよ。

はい、これからもしっかりと感染症対策に努めます。