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【大島丸代船建造 プロジェクト】第12回

【大島丸代船建造 プロジェクト】紹介

通称:MNP(MOTUNUI PROJECT)
(モツヌイ:大島に関連のあるハワイの言葉で、大きな島という意味)

推進装置のヒミツ

代船が電気推進船になるという話を聞いて、ハイブリッドカーだけでなく電気自動車(EV)についても調べてみました。

ほほう。

EVはエコである他に、レスポンスが良いと書かれていましたが、レスポンスって何ですか?

レスポンスは日本語では応答や反応と訳し、自動車ではアクセルを踏むと直ぐに加速することをレスポンスが良いクルマという。
反対に、アクセルを踏んでも加速に時間がかかることをレスポンスが悪いクルマといったりする。
船舶の場合は、ブリッジから前後進や出力変更の指示が出されてから、実際に機器の動きが変化するまでにかかる時間のことを指す。
知ってのとおり船舶にはブレーキがないから、船を急停止させたいときには、前進中の機関を後進にかけてできるだけ短距離で停止させる必要があるだろう。
だから、船舶でもレスポンスが重要になるのさ。

代船は電気推進船なので、レスポンスが良いと考えて問題ありませんか?

実は推進装置自体のレスポンスは、新旧大島丸で殆ど変わらない。

なぜですか?

新旧大島丸どちらも、CPP(可変ピッチプロペラ)を使っているからだ。

CPPって、プロペラ軸の回転方向や回転数は一定のままで、翼の角度を変更させて前進・停止・後進、それに速度の調整もできるプロペラですよね。

そのとおり。
CPP自体がFPP(固定ピッチプロペラ)よりレスポンスのよい推進装置だからね。
そのため、出入港の多いフェリーなどに採用例が多い。

それは学習しました。

電気推進船で、前進・後進や速度を変更する方法には、下の2つの方法がある。
1.FPPを採用し、インバータを使ってモータの回転数や回転方向を変更する
2.CPPを採用し、モータの回転数や回転方向を変更しない

1のインバータって何ですか?

インバータとは、半導体を利用して、ONとOFFを繰り返す長さやタイミングを変更することにより、モータに流れる電気を調整し、回転数を調整したり逆転したりすることができる装置のことだ。

ええと・・。

エレベータに乗っている時に、動き始めと止まる直前にはゆっくり動いているのはわかるよね。急に動き出したり止まったりすると、乗っている人や機械にも負担がかかってしまうからね。
あの動きを想像して貰いたい。あの動きは、インバータで制御しているからできるのさ。
でも、インバータを使った方が、止まっている時でも回転しているCPPよりちょっとエコかな。

それなら、どうして代船ではCPPを採用したのですか?

それは次の3つが大きな理由になる。
1.インバータを採用した場合、システムが複雑になり故障の原因となる
2.推進モータ用の大容量インバータが、高価なこと
3.CPPの方が、まだまだ信頼性が高いこと
そして肝心なレスポンスは、どちらかといえば可変ピッチプロペラの方が優れているだろうね。

新しい技術の方が優れているというわけではないのですね。

そうともいえる。
代船では、昔からある技術と新しい技術を比較しながら、運用に適した機器を採用している。
レスポンスの良いMさんなら、乗船すると直ぐに気がつくと思うよ。

任せて下さい。

可変ピッチプロペラの原理