- 大島丸
【大島丸代船建造 プロジェクト】第3回
【大島丸代船建造 プロジェクト】紹介
通称:MNP(MOTUNUI PROJECT)
(モツヌイ:大島に関連のあるハワイの言葉で、大きな島という意味)
みなさんこんにちは。
N船長、今回は新造船のスペックについて教えてください。
まずは船の大きさについて、現船と比較していこう。
全長は現船から約15m、幅は3m、総トン数では140t大きくなる。
新大島丸 船体主要目
全長 56.34m
垂線間長 49.90m
型幅 10.60m
型深さ 5.8m
総トン数 370ton
ちょっとイメージしにくいですね。
現大島丸より長さも幅も大きくなっていることに加えて、構造物の3階建てが、新造船では5階建てになる。

素敵なマンションになった感じがします!
天井高さも高くなっていると聞きました。
定員は乗組員9名、教員3名、学生48名だから、60人が住めるマンションだね。
その割にはトン数が増えていないことに気がついたかな?
次の大島丸では、内航貨物船で一般的に取り入れられている計算方式を採用して、それほど大きくならずにすんでいる。
上の一般配置図を見ると、第二甲板から下には居住スペースがないだろう。
貨物船ではこのスペースに荷物を積むようになっているから、当然人が住むようにできていない。
現大島丸は船底に近いところまで居住スペースがあるから、総トン数の計算方法が異なっている。
トンといっても総トン数は重さの単位ではなく、容積の単位なんだ。
この方式を採り入れないと、総トン数が約 800 トンまで大きくなってしまう。
ルール(法律)をきちんと守って、使い勝手の良い船の設計を進めてきたんだよ。
船体が大きくなると主機も大きくなるのでしょうか。
そのとおり。
現船と大きく変わるものの一つが、その主機だ。
新造船では、電動機を使ってプロペラを回す電気推進を採用した。
現船で使用している、ディーゼル機関がなくなると言うことでしょうか。
ディーゼル機関が無くなるわけではない。
現船の主機と同様のディーゼル機関を用いて発電し、その電力で推進電動機(モーター)を回すという仕組みになる。
では船体と同様にスペックを比較していこう。
新大島丸 機関主要目
推進電動機 定格745/220kW×900/600min-1 2台
発電機 定格800kW/900-1 3台
プロペラ 1軸 4翼ハイスキュード可変ピッチプロペラ
リチウムイオン蓄電池 400kWh
具体的には800kWの発電機3台で発電して、745kWの推進電動機2台を駆動させて、プロペラを回している。
現船は1,300馬力だった出力が、新造船では1,490kWになるのですね。
単位が違うとわかりにくいので馬力に直すと、新造船は約2,000馬力だから700馬力も出力が上がっている。
でも、船体が大きくなっているから、出せるスピードは12.5ノットで変わらない。
現船では、発電機は船内に電気を供給する機器だと思っていたので、新造船ではずいぶんイメージがかわりますね。
そうすると、前回のブリッジと同様に、エンジンルーム(機関室)も広くなるのでしょうか。
エンジンルームも上の比較図のとおり、2層を貫いた高さのある空間になるし、工作室も別のエリアに設置するので、実技演習にはもってこいだ。
何より、エンジンコントロールルーム(機関制御室)がエンジンルームすぐ横に配置されているので、行き来しやすくなったから、実習効果が上がる。
もう、ウキウキしかありません。
これだけの発想はどこで造られているのでしょうか。
では次回は、この新造船の設計と建造を行っている造船所について説明しよう。