- 大島丸
【大島丸代船建造 プロジェクト】第28回
立って実習のできる操舵機室
この部屋はどこですか?

代船の操舵機室
ここは、操舵機室だよ。
ずいぶん広くなりましたね。
現船の操舵機室はしゃがんでしか入れなかっただろう。
広さも5人入るのがやっとだったから、代船ではどうしても改善したかったんだ。

現船の操舵機室
わたしも非常操舵操練で操舵機室に入ったときに、何度もヘルメットをぶつけました。
代船も当初の設計では、奥に見える操舵装置がある床面と同じ高さだったから、頭が当たってしまう構造だったんだ。
そこで、操舵機室下のタンクを削って貰うことによって、高さを気にせずに実習できる設えにすることができた。
なるほど、周りが高いんじゃなくて通行部が文字通り凹部になっているんですね。
代船では操舵機室に入るストレスがなくなりそうです。
操舵機室へのアクセスもかなり改善された。
舵機室と機関室はドアーで繋がっているし、船尾スタンバイデッキからは階段で出入りできる。
現船では、スーパーマリオが土管に入るような格好で操舵機室に入りましたからね。

現船の操舵機室入口マンホール
あれ?操舵装置が2つあるように見えます。

代船の操舵装置
代船ではゲートラダーという特殊な舵を採用したので、舵が2枚になったからね。
操舵装置が2つ設置されているんだ。
それに、現船では舵を動かすための油圧ポンプが1台しかなかったけど、代船では2台に増やした。
舵は2枚あるから、左右合わせて油圧ポンプが4台になる。
操舵装置に2台以上の動力装置がある場合、船舶輻輳(ふくそう/船が沢山いる)海域や視界が制限される海域では並列運転しなければならないと習いました。その運用が実現することになるんですね。
そのとおり。
並列運転することで舵の動きを速くしたり、どちらかが故障しても速やかに対応できるようになるんだよ。
肝心のゲートラダーが良くわかりません。
以前ちょっと説明したね。
現船のシリングラダーは最大何度まで舵を取れたかな?
片舷70度です。
そうだね。ゲートラダーはそれに加えて、反対舷に40度取れるんだ。
併せて110度ですか!
(実際にはシリングラダーだと両舷に140度取れるのだが、プロペラに被さるようにして舵角が取れるわけではないため、特殊な操舵角度になっている)
その2枚の舵がプロペラを囲むように門を構成しているから、ゲートラダーと命名されている。
国内ではまだ4隻しか走っていない。
面白い操船が期待できるね。
代船のウリを忘れていました。