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S3 10/22~24 大島丸実習(関門)

3年生の関門海峡向け実習では、かなりの荒れ模様だったみたいですね。

そうなんだよ。
等圧線が横になって、東寄りの風が強く吹いたんだ。

10月22日の天気図(気象庁版)

通学の時に渡る大島大橋の上でも凄い風が吹いていましたもの。

大島の陰から出た途端に大きく揺れ始めたよ。
船は斜め船尾から風を受けると持ち上げられるようになってしまうから、
直進することが難しくなるんだ。

だから強風を直接受けないように航路を変更したんですか?
上関海峡を抜けて、光市沖を関門海峡に向かったのは室津半島の陰に入りたかったからですね。

折角の実習なのに船酔いして、何もできませんではもったいないだろう?
実技経験を積んでもらいたいからというのが大きな理由だよ。

たしかに!
着桟中では出来ないことをやるのが航海実習ですもんね。

穏やかになった航海中、出入港スタンバイの要領を繰返し練習

入出港スタンバイ時に事故が起こりやすいと習いました。
とにかく慣れるためには、反復練習が一番効果がありますよね。

本船が関門大橋を通過する頃には、関門航路の潮流が
東流の最強時となって、6ノット(時速11km/h)に達していたよ。

ということは、進行方向と反対の潮流ですからスピードが出ませんね。

その通り。
でも、操舵の腕をあげるチャンスだよね。
最終日の小倉からの復路も逆潮の7ノット(時速13km/h)だった。

まさに実習でないと味わえない実技体験ですね。

関門大橋をはじめてくぐる
復路で見る潮流信号所(うっすらと7と見える)

下関に入港したころには、天気も回復してきたんだ。

大島丸船尾と海峡タワー越しに見る夕焼け

こういう景色に感慨できるのも、荒波を越えてきた船乗りの特権ですね。

2日目には、またとないチャンスに立ち会うことができた。

え!?
どんな瞬間なんですか!?

大島丸が建造された三菱造船で、富山高専若潮丸の進水式が行われたんだ

そうでしたか!
ついに商船系高専4番船のデビューですね。

3年生と一緒に進水式に参列させて貰ったよ。

若潮丸進水の様子
(三菱造船株式会社発表)

近くで見れたんですね。
これは感動しかありません。

船台進水と呼ばれる進水方式は迫力があるね。
はじめて船体が海上に浮かぶ様子を目の当たりにすると、
見ている我々も胸が熱くなるよ。

大島丸が進水した時には、まだ中学生だった3年生にとっては
とっても素晴らしい体験だったでしょうね。

大島丸の進水から4年も経つのかと思うと、それも感慨深いな。

私たちが将来乗船する船も、今この瞬間に進水しているかも知れませんね。
なんだかワクワクしてきました。

ワクワクついでに、下関から小倉に回航する時間を使って、
巌流島の間に入り込んで三菱造船前で進水した若潮丸を見学してきたよ。

陸からも海からもなんて、フルコースじゃないですか。

生まれたばかりの若潮丸近影

やっぱり姉妹船ですから似てますよね。

ファンネル(煙突)の色が違うものの、雰囲気はそっくりだよね。

いつか船上で、富山高専出身の船員とかたふり(船乗り用語で雑談)して、
若潮丸の話をすることが楽しみです。

船に相乗りすると出身校なんて関係ないからね。
ぜひ、その話で盛り上がって貰いたい。

今回は関門海峡での夜間航行はなかったのですが、
昼間航行でも十分経験値を向上できました。

デッキ・エンジン共に学習するタイミングは沢山あったね。

実習での実技と机上授業を組合わせることができたら一番良いですよね。

進水式参列後に門司埼・関門大橋をバックに記念撮影

やる気の問題だよ。

美味しい食事も楽しめましたし、実習効果をあげないと駄目ですね。

最終日には当初の予報より天気が回復した。
その安心感もあって、航路内で実習生たちも目立つ物標を写真に収めていたな。

早鞆瀬戸で九州側の門司埼を撮影する学生

船員になってからは、単なる通過点になるだろうけれども
今は覚えなければならない地点だね。

航海実習ならではのチャンスでした。
富山高専のみなさん、一緒に乗船することを楽しみにしてますよ。